実際の事件を描いた映画「凶悪」 ネタバレ・感想と評価
闇に葬られようとしていた事件を死刑囚が告発、雑誌記者が執念の裏付けを重ねて、事件の首謀者逮捕につなげ、反響を呼んだ「新潮45」編集部編によるノンフィクション「凶悪・ある死刑囚の告発」を映画化。
不思議な気持ちになる映画↓
目次
凶悪 あらすじ
ある日、雑誌「明朝24」の編集部に一通の手紙が届いた。
それは獄中の死刑囚から届いた、まだ白日のもとにさらされていない殺人事件についての告発だった。
彼は、判決を受けた事件とは別に3件の殺人事件に関与しており、その事件の首謀者は「先生」と呼ばれる人物であること、先生はまだ捕まっていないことを訴える死刑囚。
闇に隠れている凶悪事件の告発に慄いた「明朝24」の記者「藤井」は、彼の証言の裏付けを取るうちに事件にのめり込んでいく…。
作品情報
公開 2013年
監督 白石和彌
キャスト
山田孝之、ピエール瀧、池脇千鶴、リリー・フランキー、白川和子、吉田実子、小林且弥、斎藤悠、米村亮太郎、松岡依都美、ジジ・ぶぅ、村岡希美、外波山文明、廣末晢万、九十九一、原扶貴子
感想 恐ろしすぎる。
恐ろしすぎる内容の作品で、現実にこのような事件が起きた事が疑いたくなりました。「このような世界には関わりたくない」そう思いました。ですが、闇に葬られようとしていたこの事件を白日に晒そうと、立ち向かった記者の執念は素晴らしいものだと思いました。捜査官も顔負けの執念だと思います。
評価 ★★★★
◯臨場感のある作品だった。
◯目を覆いたくなるシーンもあるがリアルな演出だった。
◯本当の事実を知るなら「凶悪・ある死刑囚の告発」(本)を。
◯役者の演技がとてもリアルだった。
映画では「この物語は、実在の事件を元にしたフィクションである」と冒頭で出てきます。
本の方は、ノンフィクションのようです。
予告動画
元となった事件「上申書殺人事件」
事件の概要
死刑判決を受けて上訴中だった元暴力団組員の被告人が自分が関与した複数事件(殺人2件と死体遺棄1件)の上申書を提出。元暴力団組員が「先生」と慕っていた不動産ブローカーが3件の殺人事件の首謀者として告発された。元暴力団組員に取材を続けていた雑誌『新潮45』が2005年に報じたことによって、世間から大きく注目されるようになり、「先生」が関与した1つの殺人事件について刑事事件化した。 元暴力団組員が上申書で告発したきっかけは、「先生」が首謀した殺人事件の報酬を受け取る約束が、直前に別の刑事事件で逮捕・長期勾留されたことで「先生」に反故にされたこと、世話を頼んだ舎弟が自殺した際に舎弟の財産が「先生」の手により処分されたことであった。
石岡市焼却事件
1999年11月中旬に「先生」が金銭トラブルを巡ってネクタイで男性の首を絞めて殺害し、茨城県石岡市のある会社まで運び、敷地内の焼却場で、「先生」が新聞紙を丸めて火を付け廃材と一緒に焼いた。被害男性は推定60歳代だが名字しかわからなかった。遺体が焼かれて残っていないだけでなく、身元確認も困難な状況となった。この事件で「先生」は「億単位の金」を入手した。
北茨城市生き埋め事件
1999年11月下旬に「先生」が埼玉県大宮市さいたま市の資産家男性(当時70代)を 水戸市の駐車場で拉致して北茨城市の「先生」の所有地まで運んで穴を掘り、穴の中に入れて生き埋めにして殺害した。男性の土地はいったん「先生」名義になった上で、その後売却された。被害男性は特定されており、男性の住民票移動や土地登記の移動も上申書の通り裏付けられた。しかし、「先生」所有の土地で遺体が見つからなかった(「先生」が証拠隠滅のために、遺体を掘り起こして別の土地に移したという情報がある)。そもそも、被害男性は身寄りがないため、DNA鑑定しても本人確認が難しいという問題があった。この事件で「先生」は約7000万円を入手した。
日立市ウォッカ事件
「先生」が2000年7月中旬から借金を抱えていた茨城県阿見町のカーテン店経営者(当時67歳)を日立市内の事務所等で軟禁状態に置き、糖尿病と肝硬変を患っていた被害者の体調悪化を狙って、1ヶ月間にわたって大量の酒を与えた。同年8月中旬に「先生」の自宅で高アルコール濃度のウォッカを無理やり飲ませ、病死に見せかけて殺害。遺体を七会村城里町下赤沢の山中の林道に運んで遺棄した事件。8月15日に遺体が発見された。当初は警察から「事件性無し」と処理した結果、残された家族は生保会社2社から約1億円の生命保険金を手にしたが、大部分の保険金は「先生」たちによって山分けされた。
◯参考https://ja.wikipedia.org/wiki/上申書殺人事件